「 今月のおすすめワイン 」

★11月のお勧めボトルワイン
CHATEAU COS D'ESTOURNEL '06 \30,000
シャトー コス デス トゥルネル
“ルイ15世”支配下の1762年に生まれ、1853年、“ナポレオン3世”の支配下に、92歳で亡くなった“ルイ・ガスパール・デストゥルネル”は、「シャトー・コス・デストゥルネル」に熱い情熱を傾けた人物でした。後に、インドへのワイン輸出で成功を収めた彼は、“サンテステフのマハラジャ”と呼ばれるようになり、貯蔵庫の上にエキゾチックなパゴダ(仏塔)を建て、絢爛たるパーティを催し、著名人たちに貴重なインド戻りのワインを贈ったお話は有名です。
しかし、1852年、“ルイ”はシャトーをロンドンの銀行家“マルティンス”へ売却することになり、新しいオーナーから、“ルイ”が愛したこの地に引き続き住むことを許されたのですが、1853年に死去。そのわずか2年後の1855年に開催された格付けで、彼が育てたシャトーが「サンテステフ」の最上位とされるという朗報を聞くことは出来ませんでした。
1917年、シャトーは「ボルドー」の著名な仲買人“フェルナンド・ジネステ”の手に渡り、彼の孫たち“ジョン・マリー”、“イヴ”、“ブルーノ”の“プラッツ”兄弟が相続して、長い間、彼らの下で運営を続けました。
2000年には、現所有者である“ミッシェル・レビエ”に売却され、“フェルナンド・ジネステ”の曾孫で、1970年から1998年まで総責任者であった“ブルーノ・プラッツ”の息子“ジャン・ギヨーム・プラッツ”が、総責任者としてシャトーの管理に当たっています。
「メドック」で異彩を放つ存在である「シャトー・コス・デストゥルネル」。そのブドウ畑は、昔の言葉で“砂利の丘”を意味する「コス」という場所にあり、眼下にはすぐ隣にある「シャトー・ラフィット・ロートシルト」が見渡せます。この丘の上部は、表土の砂利の層が厚く水はけが良いため、一部の例外はあるものの、カベルネ・ソーヴィ二ヨン種に適しています。一方、丘の下部の方へ行くと砂利の層は薄くなり、ブドウの根が石灰岩の層へと到達しやすくなっていて、メルロー種と相性の良い土壌となっているのです。
「シャトー・コス・デストゥルネル」では、収穫は合計120人で手摘みで行い、容量の小さいカジェットに入れて醸造所まで運びます。醸造所では2回の選果を行い、破砕をした後に、台形型をした小容量のステンレスタンクまで運び込みます。ステンレスタンクの中で低温マセレーションを行った後、アルコール発酵、果皮浸漬を行い、樽の中でマロラクティック発酵を行います。樽熟成の期間は、大体「18ヶ月間」と発表しているのですが、実際は年によってマチマチなのだそうです。新樽比率も同様で、100%新樽を使用する年もあれば、80%になることもあるとのこと。ヴィンテージの特徴に合わせて、柔軟にやり方を変えているのです。澱引きは3~4ヶ月に1回行い、濾過はせずに瓶詰め作業となり、出荷されて行くことになります。
ブレンド比率はカベルネ・ソーヴィニョン種60%、メルロー種40%。色調は紫色がかったガーネット色。ブラックベリー、ブラックカラント、ムスク、バラのドライフラワー、なめし皮、きのこ、タバコ、腐葉土、オーク等香り、動物的な深い風味、ベルベットのようなきめ細かいタンニン。そのタンニンと果実味の調和が非常によく取れており、幾重にも広がる味わいが、非常にゴージャスです。華々しい存在感があり、まさに「人を喜ばせるワイン」と言った印象でございます。
是非、お楽しみくださいませ!!。
(2015.11.01[SUN])