「 今月のおすすめワイン 」

★7月のお勧めボトルワイン
VOSNE ROMANEE.Les Suchots (Prieure Roch) '06 \25,000 (\28,875)
ヴォーヌ ロマネ レ スショ (プリュレ ロック)
「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)」の共同経営者“アンリ・フレデリック・ロック”氏が1988年から始めたドメーヌです。“ロック”氏は“アンリ・ルロワ”の長女“ポリーヌ”の次男(“ラルー・ビーズ・ルロワ”の甥)にあたり、1992年“ビーズ・ルロワ”が「DRC」の共同経営者から退いた後、長男“シャルル・ロック”の死去に伴い「DRC」の共同経営者となります。当初ドメーヌは1988年に「ヴォーヌ・ロマネ」村に設立されましたが、1989年に「ニュイ・サン・ジョルジュ」村の街中に醸造設備を備えたドメーヌを、「プレモー」村に樽貯蔵庫を備えました。
“ロック”氏は古文書を研究し、700年以上前にシトー派の修道士が行っていたブドウ栽培・醸造方法を復活させ、今ではビオ系ワインの代表格の一人となっています。“ロック”氏曰く、「これは微生物を活性化させることにより肥沃な土壌を維持し、宇宙の摂理と調和を目指した栽培方法である」とのこと・・・。
ラベルに描かれた独特のロゴはエジプトのある古文書に由来しています。左側にある緑色の包丁を立てたような模様はブドウの樹、下に描かれた不揃いの三つの赤い丸はブドウの実、右上の黄色い楕円は神、そしてその下の黄色い楕円は人を表しているという。自然(神)と人間の両方の力によってワインを造りだすという氏の考えが窺えます。
2010年よりドメーヌの共同責任者に就任しました“ヤニック・シャン”氏は1979年「パリ」生まれ。医師を目指していましたが、「パリ」のワインショップ「オージェ」の紹介で“アンリ・フレデリック・ロック”氏との運命的な出会いから、ワイン造りの道へ転身することになりました異色の経歴を持っています。2002年よりドメーヌで収穫・醸造を手伝い始め、05年に醸造責任者、そして、現在に至っています。
栽培について、ドメーヌ設立当初より有機栽培を実施。土壌に含まれている微生物が土に力を与えているという考えから肥料はほとんど使っていませんが、使う場合は有機肥料、つまり”生きている”肥料しか使いません。堆肥はドメーヌのブドウの若枝や搾りかすから作り、除草剤や化学的なものは一切使いません。ブドウの木を強くし、予防に徹することが大切なのです。目指している生産高は約30hl/ha。(通常は40hl)そのため厳しい剪定を行っています。
このドメーヌを話す時キーワードとして「ミルランダージュ」があげられます。「結実不良」と訳され、比較的ネガティブなイメージがあるミルランダージュですが、“ヤニック”は「このブドウこそがロックのワインの神髄である」と言い切ります。
果実における果皮・種などの比率が高まる事でよりテロワールを表現できる。またブドウだけでなく『茎が完熟』している事も収穫の条件となるとのこと・・・。フラグシップの「クロ・デ・コルヴェ」は『ミルランダージュ100%の房』のみから造られ、平均樹齢が55〜60年と高いですが、5haの広さがあるのでミルランダージュのみを収穫して、年間3,600本という収量をなんとか実現しています。
醸造について、収穫時に選果した房を、醸造時にはさらに厳格な選果(粒選り)を行います。除梗・破砕はせず亜硫酸塩も添加しない。丸ごと房をそのままタンクに入れ100%天然酵母で自然に発酵するのを待ちます。発行中(約10日間)に、毎日2回ピジャージュが行われ、発酵期間は約3週間ほどです。樽にて18ヶ月熟成され、濾過もコラージュも一切なし。ポンプを使うのも避けます。結果として、ワインに二酸化炭素が含まれており、澱が発生しますが、これがドメーヌのスタイルで誇りであるといっています。亜硫酸塩(SO2)は瓶詰めの直前にしか使わず、使用量は微量。
今回ご紹介の「ヴォーヌ・ロマネ」村の一級畑「レ・スショ」は、「ヴォーヌ・ロマネ」村最大の一級畑で特級畑「リシュブール」と「ロマネ・サンヴィヴァン」に道路を挟んで隣接しています。流行ではなく極上のワインを求めた上での自然派の実践で生まれたワインは、驚くべき複雑さ、エキス分の凝縮度はさることながら、さまざまの風味、味わいが次から次へと迫ってきます。是非、一度体験くださいませ!!!
2008年ヴィンテージ以降はキャップシール内側に赤ロウを載せ、SO2を使わずに長熟出来る状態を作り出しています。コルクを深く打ち込む事でロウのスペースを作っているためヘッドスペースは2mmだけ・・・すごい。
(2013.7.01[MON])