「 今月のおすすめワイン 」

★6月のお勧めボトルワイン
CHASSAGNE MONTRACET. Marquis de Laguiche (Joseph Drouhin) '06 \17,000 (\19,635)
シャサーニュ モンラッシェ マルキ ド ラギッシュ (ジョセフ ドルーアン)
始まりは、1880年にまで遡ります。創始者である“ジョセフ・ドルーアン”氏は、1756年に建設されたワインハウスを購入、自身の名を会社名とした「メゾン・ジョセフ・ドルーアン」を興します。第一歩は、ブルゴーニュ以外のワインも扱うネゴシアン・ビジネスからのスタートでした。
その後、2代目“モーリス”氏が引き継いだのが、1919年。“モーリス”氏は、ブルゴーニュのワインに特化すると同時に、将来ブルゴーニュで素晴らしいワインの買い付けが難しくなる事を予想、自社畑の買い付けに着手します。その“モーリス”氏の後を若干24歳の若さで引継いだのが、3代目の“ロベール”氏です。
“ロベール”氏の代で手に入れた「ミュジニー」や「クロ・ブージョ」、「シャブリ」等、ブルゴーニュの誇る数々の畑。これらの畑と共に、「ジョセフ・ドルーアン」はネゴシアン・ビジネスとドメーヌの両方において、その実力を世に知らしめる存在となります。そして、1974年、この時期にはとても稀だった、女性ワイン・メーカー、“ローレンス・ジョバール”を迎え入れます。ともすれば保守的になりがちな経営を、常に柔軟で前向きな姿勢で歩んで来た“モーリス”氏。
“ローレンス・ジョバール”が、30年後の今でも、「ジョセフ・ドルーアン」のチーフ・ワイン・メーカーとして働き、このメゾンに欠かせない人物である事が、“モーリス”氏の判断が正しかった事を何よりも証明しています。2003年、4人兄弟の末っ子である“フレデリック”氏が、まだ30代の若さで4代目の代表取締役に就任、その他の兄弟は、栽培や運営などそれぞれの形で関わる事で、次世代の「ジョセフ・ドルアーン」が始まり今にいたっております。
1976年より除草剤などの化学薬品は一切使用せず、1988年にはエステートマネージャーの“フィリップ・ドルーアン”により、本格的なビオロジックへの転換を終え、1990年代よりビオディナミに取り組んでいます。
畑は、伝統的な鋤(すき)を使って耕され、肥料も野菜で造った天然の堆肥を使用しています。ぶどうの様々な病害や害虫などの対策には、天敵である捕食動物やバクテリアを使います。このことは、環境にやさしいだけでなく、何より同社のポリシーである純粋なテロワールの表現のためには最良の手法です。
苗床の管理は大変重要であり、古いぶどう樹の遺伝的性質が保全されるよう、台木の選定にはこの上ない厳格さで臨みます。ぶどう畑は、1ヘクタールあたり10,000~12,500本のぶどう樹を植える、大変な密集栽培を行っています。さらに、樹と樹の間には雑草をそのまま生えさせておきます。これにより、ぶどう樹は養分を求めて根を底土深くまで伸ばし、甘やかされず果実に成分を凝縮するようになります。
収穫時期の決定には、糖度・酸度・タンニン分などの、ひと通りの調査を経なければなりませんが、各々のぶどう畑には経験と伝統に根差した、最適な収穫タイミングの決定的要素というものがあり、最終的にはそれに従います。
収穫はもちろん、すべて手摘みで行われ、小さな箱に入れて輸送します。ぶどうを傷つけないために、大きなコンテナは使わず、極めて手間のかかる作業をするのです。搾汁の前には、ベルトコンベアでぶどうをゆっくりと移動させながら、さらにぶどうの房を厳選する最終チェックを行います。そのまま搾汁するのか、あるいはぶどうの梗を取り除いてから行うのか、その決断もぶどうの状態をチェックし、実際にテイスティングをした結果で決定します。醗酵では、培養酵母を加えることは一切せず、本来のぶどうがもっている自然の酵母のみで行われます。
今回ご紹介の「シャサーニュ・モンラッシェ・マルキ・ド・ラギッシュ」はこの地に長い歴史を持つ“ラギッシュ”侯爵家所有の畑のもので、古くから栽培、醸造、販売において「ジョゼフ・ドルーアン」一手に任されてきました。
緑がかった美しい黄金色、香りは実にエレガントで、ナッツ、洋梨やヴァニラ、りんごのフレーバーが支配的です。口に含みますと、とてもバランスが良く、まろやかで果実味豊かな後味、長い余韻と複雑さをもつこのワインは、ブルゴーニュの偉大なシャルドネの素晴らしい一例と言えましょう。
伝統と格式をもった「ジョゼフ・ドルーアン」がつくる“ラギッシュ”侯爵家のワイン、是非一度お試しください!!!。
(2012.6.01[FRI])