「 今月のおすすめワイン 」

今年も余すところ、あと「1ヵ月」・・・“行く年、来る年”に色んな想いを込めて・・・「年の瀬」の一大イベント「Ⅹ'mas」は、この一年の辛かったことを忘れて新たな年に願いを馳せる・・・そんなときに、シャンパンの立ち上がる泡に見入って、しばし時を忘れてみては如何ですか・・・。
いつものように「ソムリエ・森下」のコメントで、お楽しみ下さい・・・。
★12月のお勧めボトルワイン
VEUVE CLICQUOT LA GRANDE DAME '98 \32,000 (\36,960)
ヴーヴ クリコ ラ グランダム
日本では「モエ・シャンドン」と並んで、もっとも有名なシャンパーニュで、「ヴーヴ・クリコ」は直訳すると「クリコ未亡人」の意味です。もともとは1772年、「ランス」の銀行家であった“フィリップ・クリコ”氏が創立したのが始まりです。“フィリップ・クリコ”氏は大変なやり手で、1775年には世界で初めてロゼ・シャンパーニュを出荷しています。この“フィリップ”氏の息子、“フランソワ”と結婚したのが“クリコ”夫人です。“クリコ”夫人は1777年生まれで、1799年に“フランソワ・クリコ”氏と結婚しています。このとき、世の中はフランス革命の真っさい中で暴動の嵐だったため、地下の洞穴で結婚式を挙げたそうです。しかしその4年後の1803年、幼い娘を残して夫が他界してしまいます。夫人はこのとき27歳という若さでした。未亡人となった“クリコ”夫人は、夫のシャンパーニュにかける熱い思いを受け継いで3代目社長となり一念発起します。ナポレオン戦争のさなかにロシア宮廷へ輸出したり、当時の皇帝や貴族に売り込み、これが大成功します。「ロシアの上流階級はクリコしか飲まない」と言われるようになりました。また、シャンパーニュの色が透明になったのは、1816年、このメゾンの技師“アントワーヌ・ド・ミュレ”が「ルミアージュ(動瓶:シャンパーニュを清澄する技術)」を考案したのがきっかけです。それまで澱(オリ)が多く、薄くにごっていたシャンパーニュが透明になりました。
数多くの偉業を残したクリコ夫人の存在は格別で、今日に至っても時代の流れをいち早く読み取り、そして視野の広さと行動力を兼ね備えた偉人として「シャンパーニュ地方の『偉大な女性(ラ・グランダーム)』」として尊敬の念で呼ばれているのです。
1998年ヴィンテージついて、冬は非常に寒かったのですが、「モンターニュ・ド・ランス」地区では降雪の後、予想外に温かくなり穏やかな雨が降りました。気候の影響を受けやすい地区では霜が数回降りたようです。春の到来は早く、多雨、5月はとりわけ暑く雨量が少なかった。開花は6月末の雨に妨げられることもなく、熱波といえるほどの良好な気候条件のもとで始まりました。夏の初めは、雨と好天の繰り返しとなりブドウは早く成長、8月は雨が少なく、陽光に恵まれたため、ブドウの成熟には最適でした。9月の最初の2週間は曇りがちでしたが、次第に天気が良くなり、収穫には理想的な気候条件となり、果実の状態は極めて良好でした。
ブレンドは「ヴァレ・ド・ラ・マルヌ」地区の「アイ」、「モンターニュ・ド・ランス」地区の「ヴェルズネー」、「ヴェルジー」、「アンボネイ」、「ブージー」の特級格付けの村で収穫されたピノ・ノワール種を64%、「コート・デ・ブラン」地区にある特級格付けの3ヶ所の村、「アヴィーズ」、「オジェ」、「メニール・シュール・オジェ」で収穫されたシャルドネ種を36%使用しています。
色調は翡翠のような緑、きらめきのある淡い金色。澄みきっており、驚くほどキメの細かい泡が立ちのぼる。最初はミネラルのアロマといった、シャルドネ種ならではの特徴が前面に出ていいます。グラスを回して空気に触れさせると、砂糖漬けのフルーツ(柑橘系のフルーツ、アプリコット、マルメロ)や甘いアーモンドの香りが現れます。さらに数分グラスを回し続けると、モルト、タバコ、繊細なハーブなどの複雑な香りが次第に現れてきます。味わいはすっきりと澄んでおり、口当たりの良いシルクのような滑らかさと完璧にバランスがとれています。生き生きと、しっかりとした余韻が長く続き、熟成のすばらしい可能性も併せ持っています。「ヴーヴ・クリコ」のスタイルの典型といえる「ラ・グランダム1998 年」は、ピノ・ノワール種を3分の2近くも含むブレンドから生み出される力強さを少しも失うことなく、洗練の極みに達しているのです。
是非、1年の締めくくりに大事な人とシャンパングラスを傾けては如何でしょうか!!!。
(2011.12.1[THU])